–南国の気候が生み出すテーゲーな空気感–
沖縄という地域は豊かな自然環境の恩恵を享受する一方、台風時には想像を絶する猛威にさらされる。それは日常の生活と密接な関係を生み、沖縄特有の自然環境から導かれた建築が、琉球王国の時代より変遷しながらも現代まで脈々と受け継がれている。風雨や直射光を軽減する雨端(アマハジ)空間、伝統的な貫木屋(ヌチジャー)の木造による熱環境への順応や、戦後普及したRC造による気象への対抗。また沖縄時間(ウチナータイム)と言われる風土が生み出す人と人との関りなど。この地における人と自然に対してどのように寄り添い、どのように対峙しなければならないのかを思考しながら新たな姿形を目指した。
敷地は沖縄本島の中央部に位置する恩納村。前面の国道58号線越しに東シナ海の夕日が望める立地である一方、道路面から2mほど窪んだところに敷地レベルが位置し、眺望の確保には3層構成にする必要があった。建築全体は幅・奥行・高さ方向を約10m×10m×10mの3層RC造とし、屋根部に関しては木質架構によっておおらかな大空間をつくりながら熱環境にも順応できる形式としている。2層部分は国道からの車の騒音やプライバシーの関係から、外部に対して閉じつつも通風を花ブロックによって取り入れた。1層及び3層に関しては沖縄特有の三心円弧をモチーフに外皮4面の開口がつくる雨端空間によって内外の新たな連続性を生み出している。