中国・南西部の浙江省龍泉市で開催される「国際竹建築ビエンナーレ」
龍泉市宝渓県(City of Longquan, Baoxi Township)という美しい村に中国政府と民間企業が共同して、特産である竹を用いた建築によって小都市のサスティナブルな開発になることを期待したプロジェクト。今後定期的に開催される中の第一回目では、ホテル・レストラン・ユースホステル・博物館・青磁陶芸スタジオ・竹建築実験住宅・茸栽培施設など有名な特産物との関わりのある建築を、ヨーロッパ・アメリカ・南米・アジアから10名の建築家が招聘され手がけていく。
われわれが手がけていく建築は中国を代表する青磁器の現代陶芸家のスタジオ・ギャラリー兼住居である。敷地はメインゲートとなる橋の正面に位置する2m程の石積みの雛壇上である。この村に古くから馴染みのある石や煉瓦積み、そしてコンクリートや土を活かした荒壁など、この地域を構成している素朴な材料と技術を工夫することで成り立つ建築を考えた。具体的には必要な機能をそれぞれが完結することのない7棟の洞に細分化しながら互いに領域を共有するような空間の広がりを生みだそうとした。そして敷地周辺に群生する竹林のように、洞を竹で水平垂直方向に対して抑揚を持たせながら覆っていく。竹林を歩くときに感じる、風による葉擦れの音や微かに揺らぐ木漏れ日、乱立する隙間から見え隠れする風景などの空間体験と洞の安定した居場所によってつくり出す環境が、この地域とのインタラクティブな関係を生み出すだろう。この山間に佇む小さな村の新たな風景が桃源郷のような場所として愛されていくことを期待している。