低さ・昔から人を迎え入れていた土間の上にかかっていた太鼓梁・2階天井裏にある丸太の小屋組・燻されて煤がついた梁等・・・こうした古いものを尊重しながら、あたらしい物を組み合わせ、これから50・100年となお受け継いでいける再生を目指した。
熱環境においては、冬の薪ストーブの熱効率を高めるためルーバー天井の裏にサーキュレーターを設置している。各部屋と部屋は美濃手漉き和紙の(楮繊維の原皮の水玉模様が織り成す)障子によって風を通し、様々な光と影が空間に変化を与えながら人の気配が感じられるものとなっている。また、既存の池の周囲に四季が感じ取れる植栽を配置することで、居間から薪ストーブ越しに風景を楽しめるものにした。今回、真新しい木は出来るだけ素地の色を残しながら新旧がひとつ屋根の下にあるファサードを意図した。そして、古いものと新しいものとが対話を重ね、経年変化しながら調和していける再生を試みた。