超高齢社会を迎える日本において、特別養護老人ホームというビルディングタイプの在り方を再考したプロジェクトである。建築全体を小さな都市と見立て4人を1ユニットとする多床室=「住まい」を環状に配置し、囲まれた中央部を共用=「広場」のような空間構成としている。さらに、多床室は往々にして窓側・廊下側と外部環境に対してヒエラルキーが生じてしまうが、どの部屋からも外部環境が感じられる不均質な平面を基本に計画している。緑に囲まれた自然豊かな環境と常に人同士がふれあえる空間によって要介護の度合いを超えた人の仕合せが生まれる住まいの試みである。