敷地は山口県内に位置する山裾を造成した住宅地である。東西2面は住宅が隣接し、南北では景色が見渡せ、風の抜ける気持ちの良い場所であった。設計にあたりクライアントからの要望は家族4人が常にコミュニケーションが取れ、本や写真などを飾れる棚が欲しいというものであった。そこで東西2面は外部に対して閉じながら、内部は階段室の本棚をコアとして1階は縦方向・2階はテラス・デッキを南北方向へと視覚的繋がりと物理的繋がりを作り出した。この垂直・水平方向の連続性によって実際以上の空間の広さを獲得し、また家族の気配を常に感じられるものとなっている。片持ちで4m張り出した2階子供部屋の階下では車庫としての機能を与えながら東西の部屋同士をFRPグレーチングにより繋いでいる。
H型2階はデッキとFRPの面によりスクエアな空間となり本棚とグレーチングのフィルターによりプライバシーを確保しながら光・風が抜ける構成とした。このような操作によって敷地のもつ特性と住まい手の居住空間を身近に感じられる環境を創りだしている。