香川県にあるメディア企業のアネックス棟として1.5プレイス的な役割を担う木造オフィス。各諸室が閉じた形式ではなく個々の空間領域を緩やかに継ぎ合わせた小さな都市的な建築。最小限の‘個’の単位をひとまとまりにした場と、他者との会話を通じてインプット・アウトプットを行う場から、街路や広場など街区的な‘公’の共有空間へと徐々に拡張しながら異なる要素が互いに連関するフラクタルな階層性をもたせている。特徴的な構造システムである9つの什器は多孔質で多様なマテリアルがブリコラージュされた不均質さをもち、実空間としての境界だけではなく意識の上でもその曖昧な領域性として働いている。またランドマークとしてこの土地に根付いていた大木のクスノキや地下水を利用した小川のせせらぎなど敷地環境を利用しながら立体的な回遊性をもたせた。日々の慣習化した私たちに自己変容を喚起させる場所となることを期待している。