中世より物流で栄え、かつては賑わいをみせた尾道の古い通りに、まちの伝統を継承しながら、「上質感」と「親近感」の2つを融合させた隠れ家的な鮨屋の改修プロジェクト。
尾道の路地は分岐する小道や段差、時には道に覆い被さるような木々といった変化によって奥へ進む楽しさがある。そこで通り抜ける路地のような空間をこの場所に作り出すことで生まれる奥行き感が店内に人々を引き込み、天井高さや階段などといった変化が空間に楽しさと緊張感を与えてくれる。また、日本の美を継承するミニマルな空間は街の喧騒を忘れ、心に余白と上質で特別な時間をつくり出し、華やかな空間では感じることのできない繊細な色調や手触り、その空間で味わう料理本来の味を五感で楽しむことができる空間とした。