博多辛子明太子を代表する「やまや天神本店」の改築プロジェクトである。
どこにでもある家庭の食卓を彩る明太子、「上質だけど手が届く」というやまやの想いを感じられる空間構成を今回われわれは考えた。
それは明太子のような緩やかなフォルムを纏い、やさしく内包されたような「包み込み」と川から海へと自然な流れのように天神地区人々の往来を引き込むような「繋がり」を体感できるような空間。
具体的には、間口3.8m×奥行11.6mの店舗スペースに対して、汎用性の高い構造用合板による門型フレームを反復させながら実際の広さ以上の奥行き感を生み出した。さらに、フレームの微妙な抑揚によって柔らかく包まれた内部空間をつくりだしている。店内の床を緩やかな1/20勾配のスロープによってアイレヴェルを変化させ、外部環境を内部に取り込んだようなインナーガーデンが訪れる人を気軽に迎え入れる要素となっている。
古いビルの１Fに創業時から構える、やまや1号店の新たな環境は引き続き多くの人たちによって育まれていくだろう。